ビギナーズ

 ツイッターに設置している質問箱に「仮免許技能試験おちまくっているので励ましてください」という旨の内容が書かれていた。うむ、わかる。僕も、実は一度落ちていて、試験官にブレーキ踏まれてしまって即アウトになった。その日はだいぶ落ち込んだし、車に乗るのがちょっと憂鬱になった。僕は去年、なんとか免許を取ることができたけれど、一か月くらいのプランだったのでかなり濃い内容だった。すぐにあれこれを覚えて夏休みが終わるまでにちゃんとこなさないといけなくって、結構疲れたし、心もだいぶやられてしまった。なんで取れたのかはよくわからない。運がよかったのかな。

 「落ち着いて、リラックスリラックス」と人は良く言うけど、ものすごくむつかしいよね。落ち着かなきゃ、って思うと落ちつけなかったりするし。僕はあがり症で、人前で何かをするのがとっても苦手だ。あと、テストの時間にペンの「かたかた」という音が聞こえると急に緊張して、ど忘れしてしまう。プレッシャーに対する抗体の強弱って、ひとそれぞれというか、生まれた環境とかで全然違ってきますよね。甲子園でピッチャーをしている子やオリンピックの代表として活躍している人って、なんだか惚れ惚れしてしまう。

 仮免前のときは自動車学校で走っていたけれど、横に教官がいるのといないのとでは気持ちの余裕が変わってくる。横に誰かがいるだけで「ちゃんとしなきゃ、間違えたらだめだ...」と思って肩に力が入ってガチガチに固まる。でも誰もいないと、いやもちろん無茶したらいけないんだけど、多少間違ってもいいかと思える。あ、仮免前には20キロ出すのも勇気が必要だったし怖かったけど、外で走ってみたらなんてことはない。学校のあの道なんてやさしいものだったなとわかる。高速道路を走っていたとき、教官に「じゃあ追い抜いてみましょう」と言われ、仕方なく加速をした。まるでアトラクションに乗っているような感覚だったし、ちょっと浮遊感、夢に似た感じがした。そのときも緊張でガチガチだった。

 でもよく考えたら、日々の岐路にはいつもプレッシャーが付きまとう。センター試験や就職試験、資格を取るのだって試験が必要。仕事にだっていろいろプレッシャーを感じるときがあるはずだ。僕の場合、大学受験のときに小論文を書いたのだけど、そのときは自然と緊張しなかったなあ。何べんも何べんもやってきたから大丈夫だったのかな。だから思うのだ、余裕は大事だって。余裕がないと自然と追い込まれる。仮免の技能試験に落ちてショックを受けている人も、余裕をもってみることがまず大事です。「失敗したっていいんだ」って思う、とかね。誰もがみんなビギナーです。