おなかに悩まされて

 いつからか、牛乳をごくごく飲めなくなった。少しのあいだは大丈夫でも、それは必ずやってくる。例えるならば、腹の中を龍が駆け巡っていく感じ。トイレという監獄で時間を過ごすのは結構耐えられないものだ。いつ終わるか分からない痛み。ただただその痛みを受けるしかない。緊急手段は正露丸である。...有難い。

 冷たいものもそんなに食べられない。理由は同じだ。いつからこんなにおなかが弱くなったのか分からないけど、食べたいものをいっぱい食べられないのはつらい。

 高校時代は、4時間目が一番つらかった。おなかが鳴るのだ。わいわい楽しい授業ならましだが、静かに淡々と過ぎる時間は「きえろっ、きえろっ」と、千尋みたいに祈るばかりだった。ある席にいたときに、隣の女子もおなかが鳴りやすい人だったので、結構うれしかった。というか、ありがたかった。お昼ご飯を食べ、5時間目、今度は消化の音を必死に抑え込まなければならなかった。なんで消化の音も、おなかが空いたときと同じ「ぐう」って音なんだろう。5時間目はいっつもこの消化の音を誤魔化すことで必死だった気がする。模試の日やテストの日、トイレに行くのは勇気が必要だった。大丈夫かな...、いやだめだ、手を挙げよう。高三のとき、後ろの席の子もおなかが弱くて、その子がトイレに行った後で僕も手を挙げたら、先生に苦笑いされてしまった。

 最近の悩みは、深夜におなかが減って仕方ないこと。どんなに食べても、ベッドに入ると、「腹減ったなあ」と思う。でも、罪深いじゃないですか。カロリーとか気になるし。だからこの間、スーパーで春雨を買ってきた。鍋でお湯を沸かして、春雨を投入する。うどんだしの素を入れて、もしキムチがあればそれも入れる。それだけで深夜のごちそうが出来上がる。胃袋を満たして、またベッドに戻る...。

 一日一食で生活している人もいて、それでふらふらしたり元気がなくなったりしないのか気になる。でも、「おなかが空く」とはいえ、そう感じているのは脳なんですよね。脳の大きさはそんなに変わらないはずなのに、空腹の感じ方には大きな差があるのは、不思議だ。

 コンビニで豆大福を見つけたらつい買ってしまうのをやめたい。もちもちで、豆の感触と小豆の甘さ、ちょっぴりしょっぱくて、小腹が空いていたらふと手に取ってしまう。...自重します。